ポワロ最期の事件「カーテン」

ポワロが中学生の頃から大好きである。
小説もNHKで放送していたデイビット・スーシェ主演のドラマも大好きだった。
特にポワロ最後の事件「カーテン」を読み終えた時は何とも言えない感動と哀しさを感じた。
作中、年老いたポワロは車椅子で登場し、自慢の推理も衰え、犯人を捕まえることなく死んでしまう。

そして「カーテン」が出版された年に作者のアガサ・クリスティも死去している。人生の幕引き(まさにカーテン)を意識させられる作品だった。

だがミステリの女王たるアガサは最晩年でも狡猾である。読者が抱く老いたポワロに対する同情心すらも最期のトリックに利用してくる。

史上最高のミステリ作家と彼女の生み出した愛すべき探偵の最期にふさわしい作品である。

伯爵