午前五時。
12月なので夜と全く変わらない。
私はスキーに出掛けるため車を運転していた。
知人を拾うため、名古屋駅周辺を走っていた。
信号で停止すると、八百屋らしき店に明かりが点いており、男達が忙しそうに動き回っていた。
八百屋の準備というものは、こんなにも早くから行われているんだと驚いた。
商売で暮らしを立てていく必要があるから起きざるを得ないのだとしても、冬の早朝に布団から出るのはつらいだろう。
夜が明けて店が開店した時の事を想像した。
お客は店の準備がこんなにも早くからされていたことに気付かないし、店の者達もそんな素振りは見せないだろう。
当たり前のように八百屋は営業されていく。
人が働く姿はなんというか、まっとうだ。
暗闇の中に点る八百屋の明かりは私を勇気付けた。
そしてその光景は夜が明けても強く心に残った。