小柄な青年は礼儀正しく、品があった。
面接が楽しかった。こんな事は初めてだ。
彼の話によると・・・
仕事の内容はスクリプトを書いたり、通信機器を設定・設置したり、サーバの面倒を見る事だという。
サーバの面倒を見る というのがよく分からなかったが、バグなどでプログラムが停止することがある。そんな時に回復させる事らしい。プログラムを修正することもある。
インターネットをやった事が無かったので、面接の会話から下記が学べた。
JavaとJavaScriptはまったく違う言語であること。
GNUは「グニュー」と発音する事。
LinuxというフリーOSがある事。
彼との面接が終わり、事務机にいた40代のおっさんが彼に尋ねた。
「どう?鶴ちゃん?」
「そうですね。経験は不足していますが、ぜひ欲しいですね。」
彼は静かに言った。
「とりあえず最初はバイトだけど。明日から来れる?」
おっさんも静かに言った。
「はい!お願いします。」
僕は即答した。
僕の就職活動は胡散臭い会社のアルバイトで幕を閉じた。
バイトだろうが、何だろうが構わなかった。わくわくする仕事だと直感した。
なにより彼は僕に敬意を以て接してくれた。
それがとても嬉しかった。
インターネットプロバイダの仕事がどんなものか想像もできない。
コンピュータに関わる仕事なので、取りあえずC言語を復習。
他の人はプログラムができて当然だろうから、恥をかかないようにしたかった。
訓練所で使っていたC言語の教科書に載っていたラインエディタのソースを打ち込みながらソースに注釈を付けていった。
メイン関数がループ状態で待機して、入力を待つ。入力が発生するとサブ関数が呼ばれ処理を行い、メイン関数に戻る。
理解はできるが、自分でイチから作れるとは思えなかった。
明日の朝には初出社だ。
自分はどう考えてもあまり賢い方ではない。
コンピュータを職業することに不安になった。
本当にやっていけるんだろうか?